これまで何人かその場に立ち会ったけれど、その瞬間のすべてを静かに見せてくれたのは、介護してた叔母でした。
その日は、初めてお会いした、叔母の姪御さんと私と2人、施設のお部屋でした。
もともと叔母は不安が高かったので、2人で手を握り、叔母には「今ね、美しくて楽しい音楽隊がお迎えにきてるそうだから、その美しい音色が聞こえてきて、金のお舟が到着したら、サッと乗っていけばいいよ」と言ったら、うんうんと小さく頷いて、しばらくすると最後にため息のように大きく息を吐いて、瞳孔が開いてゆきました。スーッと命が出てゆくのを2人で見届けました。
逝った?うん、逝ったね。穏やかだったね。スムーズによかったね。
涙ではなくほっと笑顔で送り出すことができたこと、感謝しています。